治験についてよくある質問
最近、新聞などで「治験にご協力下さい!」といった広告をよく目にすることがあります。新しいお薬の開発や治験について説明したいと思います。
最近よく「治験」という言葉を見たり聞いたりするのですが「治験」とは何ですか?
一般的にはあまり使われない言葉ですが、新しいお薬を開発するために行なう「臨床試験」のことです。
新しいお薬を開発するために、何故「治験」が必要なのですか?
お薬は、専門の多くの方々の研究によって有効性と安全性の高いものが創られていますが、さらに有効性と安全性を確認し、私たちが病気になった時に安心して飲んだり注射を受けられるお薬にするために、多くの方々の協力が必要になるわけです。
新薬はどのようにして創られるのですか?
新薬は、非常に複雑な過程を経て創られますが、簡単にお話ししますと以下のようになります。
新薬の開発にはどれくらいの時間と費用がかかっているのですか?
お薬の種類にもよっても異なりますが、大体10年から20年かかり、費用も200億円から300億円かかるといわれています。特に多くの時間と費用がかかるところは、患者様の協力を得て行なう第II相試験と第III相試験です。
まだ多くの人が使ったことのないお薬を試してもらう訳ですので、慎重で十分な管理のもとで治験が行なわれなければなりません。そのために、時間と費用がかかるのです。
「治験」とはいわゆる「人体実験」のことですか?
端的にいえばそうなりますが「人体実験」と「治験」は全く異なります。
「治験」では自らの意思で試験的治療に参加してもらいます。専門の人から詳しい話を聞いた上で、自らの意思で治験に参加するか否かを決めて頂きます。決して強制するものではありませんし、途中で治験を止めることも自由です。
また、治験の実施にあたっては「治験審査委員会」によって、患者様に不利益にならないかを審査した上で治験が実施されるのです。
まだ良く効くか、安全なのか分からない時に使うのには問題があるのではないですか?
その通りかも知れませんが、基礎研究において、効果と安全が確認され、第I相の試験をパスしたものでないと患者さんの協力を得た試験を行なうことが許可されません。安全には万全の方策がとられています。
「人権と安全性」を最優先にし、倫理的にも問題のない方法で行ない、十分な説明を聞いて頂き、納得・合意された方のみ治験に参加して頂くわけです。
お薬の開発について
日本では新薬の開発が遅れていると耳にしましたが?
先進国の欧米に比べて新薬開発が遅れています。そのため欧米で使用されているお薬でも日本では使うことができないこともあります。数年前に起こった男性勃起不全の治療剤のバイアグラの事件のように、お薬を求めて先に発売されている国に個人的に買いに行くといったケースが起こっています。
その意味では先進国の中で、日本人だけが新しい薬物療法が受けられないといった問題が起らないようにしなければなりませんね。
何故、日本では新薬の開発が遅れているのでしょうか?
一言でいえない難しい問題です。
日本と欧米の文化や制度の違い、国民性によるところが大きいようです。例えば欧米ではよりよいお薬を後世に残すためであれば「私の病気を活用して下さい」といったボランティア精神(自らの意思で参加する)が強いのですが、日本では「誰かが効果や安全性を確かめてくれてから使う」といったところが多いと言われています。また、日本では国民皆保険ですが、欧米では任意保険ですので、治験に参加することで無料で病気を治してもらえる可能性があるため治験参加者も多く、治験がスムーズに進んでいるとも言われています。
「治験審査委員会」とは何をするのですか?
治験審査委員会のことを英語でInstitutional Review Boardといい、英語の頭文字をとってIRBともいいます。IRBは、専門の人以外に外部の人や専門以外の人によって構成し、一種の倫理委員会と思って下さい。すなわち、その病院で治験を行なうにあたり、参加して頂く方が不利益になっていないか等を審査する委員会です。いくら病院長が「やれ」と言ってもIRBで治験を行なわないと決議されれば、行なうことはできません。
治験に参加するとどんな特典(メリット)がありますか?
治験の種類とか治験を行なう施設により幾分か異なりますが、治験に参加して頂くと、一般的に以下の特典があります。
・新しいお薬を使う機会が与えられます。
・治験薬および同じようなお薬の自己負担の費用は無料です。
・治験薬を使用している間に行なわれる検査の自己負担の費用は無料です。
・通院交通費等の補助として、一定の額が支払われます。
治験に参加するとどんな不利益(デメリット)が考えられますか?
治験の種類で異なりますが、一般的に以下のデメリットが考えられます。
・未知のものを使う不安があります。
・治験薬の服薬方法、服薬時間、回数を正確に守らなければなりません。
・治験参加期間中来院の回数や検査の回数が通常の診察時より多くなることがあります。
もし、重大な副作用が起こった時はどうなるのですか?
治験を行なう時点ではお薬の安全性が完全には分かっていませんので、もしそのような事態が起こった時は製薬会社は保険等による万全な体制をとっています。また、海外をはじめ、他の医療機関で重大な副作用が起こった場合でも、直ちにち験を実施されている医療機関に報告されるなど、治験が安全に行なわれるよう万全の方策がとられています。
大田記念病院を中心とした「福山治験ネットワーク」が国の支援を受け、治験を行なっていると聞いたのですが?
その通りです。先にも述べましたように、日本では治験が進まず、国・医療機関・患者様が困っているというのが現状です。そのため民間の医療機関や診療所に治験の協力を仰いだり、ネットワーク化による大規模な治験が行なわれるようになりました。 この度、大田記念病院を中核病院とする広島東部・岡山西部を中心とした「福山治験ネットワーク」が平成16年から3年間にわたって国の予算で治験を実施することになりました。 国の予算を受け治験を行なうのは、全国でも3番目でその意味でもこの地区での治験の推進に対する期待が大きいことが伺えます。
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